SDRAM、DDR、DDR2、DDR3、DDR4、DDR5の違いとは?
すべてのデスクトップ、ノートパソコン、タブレットは、ランダムアクセスメモリ(RAM)を使用して、動作に必要な短期的なデータを保存します。コンピューターの進化とともにRAMの性能も向上します。
2002年より前に製造されたコンピューターでは、一般にシンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)を使用していました。2021年になると、メモリテクノロジーはDDR5 DRAMによって革新的な進化を遂げました。その間の数年間には、RAMのいくつかの世代が市場に投入されました。
RAMは世代ごとに速度と周波数が向上し、消費電力が減少しています。コンピューターのハードウェアはすべて接続され相互依存しているため、その他のコンポーネントの高速化にもつながります。したがって、速度の遅いコンピューターを改善するのに、メモリのアップグレードは効果的な方法です。
RAMの世代間の違いは分かりにくいこともあるので、この説明を使用いて、明確なインサイトと公平な比較をおこない、PCの自作や、コンピューターのアップグレード、またはRAMに関する理解を深めてください。
SDRAMとは?
SDRAMは、他のコンピューターコンポーネントの高速化に対応すべく1988年に開発されました。この名前にある「synchronous(同期式)」がかぎとなります。SDRAMモジュールは、中央処理装置(CPU)のタイミングに自動的に同期するように設計されています。
メモリコントローラは、クロックのようにリクエストされたデータの準備ができる正確なサイクルを知っているてめ、CPUはメモリのアクセスの間で待機する必要はありません。SDRAMは、クロックサイクルごとに読み取り/書き込みを1回だけおこなえます。
DDRとは?
ダブルデータレート(DDR)はSDRAMの次世代型として2000年に発表されました。DDRはクロックシグナルのダウンビートとアップビートの両方、つまり1サイクルに2回データをプロセッサーに転送します。DDRメモリは両方のビートを使うことで、データ転送にクロックシグナルの片方のエッジのみを使用するSDRメモリと比べるとかなり高速になります。
メモリアレイから内部入出力バッファに2ビットのデータを転送するこのDDRのプロセスは、2ビットプレフェッチと呼ばれます。通常、DDRの転送速度は266MT/秒から400MT/秒の範囲です。ダブルデータレートは、デュアルチャネルメモリとは異なりますので注意してください。
これまでにDDRテクノロジーは他のコンポーネントの改善に対応できるように進化し、全体的なコンピューター性能を高めてきました。ここでは、DDRAMの各世代を確認して比較していきます。
SDRAM | DDR | |
プリフェッチ | 1 - ビット | 2 - ビット |
データレート(MT/秒) | 100~166 | 266~400 |
転送速度(GB/秒) | 0.8~1.3 | 2.1~3.2 |
電圧(V) | 3.3 | 2.5~2.6 |
DDR対DDR2
2003年に登場したDDR2は、バス信号の改善によってDDRの2倍の速度で動作します。DDR2はDDRと同じ内部クロック速度を使いますが、転送速度は入出力バス信号の向上によってより高速化されています。DDR2のプリフェッチは4ビットで、DDRの2倍です。DDR2の転送速度は533MT/秒から800MT/秒にまで到達します。
DDR2メモリはペアでインストールして「デュアルチャネルモード」として使用できます。このモードでは、メモリのスループットをさらに向上させることができます。
DDR | DDR2 | |
プリフェッチ | 2 - ビット | 4 - ビット |
データレート(MT/秒) | 266~400 | 533~800 |
転送速度(GB/秒) | 2.1~3.2 | 4.2~6.4 |
電圧(V) | 2.5~2.6 | 1.8 |
DDR2対DDR3
2007年に登場したDDR3テクノロジーでは、帯域幅とDDR2の転送レートが2倍になっただけでなく、消費電力も大幅に削減されました(DDR2と比較して約40%)。 電圧が1.8Vから1.5Vへと削減されたことで、動作電流・電圧が低下し、バッテリー駆動型のデバイスにとってこれは朗報となりました。DDR3の転送レートは、800MT/秒から1600MT/秒の間です。
このようなすべての改善により帯域幅と性能の向上や消費電力の削減が実現し、DDR3はノートパソコンに最適なメモリオプションとなっています。
DDR2 | DDR3 | |
プリフェッチ | 4 - ビット | 8 - ビット |
データレート(MT/秒) | 533~800 | 1066~1600 |
転送速度(GB/秒) | 4.2~6.4 | 8.5~14.9 |
電圧(V) | 1.8 | 1.35~1.5 |
DDR3対DDR4
DDR4は、DDR3がリリースされた7年後に発売されました。このDDR4では、動作電圧は低くなり(1.2V)、前世代より高い転送速度を達成し、1サイクルあたりのデータ処理レートは4倍になりました。つまり、DDR4はDDR3より少ない消費電力で、より高速で効率的となっています。この新しい世代ではバンクグループも導入され、望ましくない16ビットのプリフェッチが回避されています。バンクグループでは、各バンクが他のバンクから独立して8ビットのデータを処理できるため、DDR4は複数のデータリクエストを1クロックサイクル内で処理できます。
DDR4の転送速度は上がり続けています。DDR4モジュールの速度は5100MT/秒の達成も可能で、オーバークロック時にはさらに高速になります。Crucial Ballistix MAXモジュールは、2020年には数多くのオーバークロックの世界記録を塗り替えています。
DDR3 | DDR4 | |
プリフェッチ | 8 - ビット | 1バンクのビット数 |
データレート(MT/秒) | 1066~1600 | 2133~5100 |
転送速度(GB/秒) | 8.5~14.9 | 17~25.6 |
電圧(V) | 1.35~1.5 | 1.2 |
DDR4対DDR5
2021年に導入されたDDR5はメモリテクノロジーの最新世代で、アーキテクチャーの革新的な飛躍を遂げました。これは間違いなく、SDRAM以来私たちが目にしたメモリテクノロジーの中でも最大の飛躍といえます。
DDR5では、チャネル効率が向上し、電源管理が改善され、性能が最適化されているため、次世代のマルチコア型コンピューティングシステムを可能にします。DDR5ローンチ時点での速度は、DDR4の約2倍の帯域幅でした。さらに、テスト条件下だけではなく本稼働条件でも、より高いレートでチャネル効率を損なうことなくメモリ性能をスケーリングできます。
DDR5のメモリ規格はより密度の高いメモリスティックなので、システム内のメモリ容量が増大するということになります。DDR4と比較すると、DDR4は16ギガビットのメモリチップで止まりましたが、DDR5は最大で64ギガビットのメモリチップを提供します。Crucial DDR5メモリはローンチ時点で、DDR4の最大標準速度の1.5倍、4800MT/秒で動作することになります。
DDR4 | DDR5 | |
プリフェッチ | 1バンクのビット数 | 16 - ビット |
データレート(MT/秒) | 2133~5100 | 3200~6400 |
転送速度(GB/秒) | 17~25.6 | 38.4~51.2 |
電圧(V) | 1.2 | 1.1 |
RAMを数値で比較
DRAM | DDR | DDR2 | DDR3 | DDR4 | DDR5 | |
プリフェッチ | 1 - ビット | 2 - ビット | 4 - ビット | 8 - ビット | 1バンクのビット数 | 16 - ビット |
データレート(MT/秒) | 100~166 | 266~400 | 533~800 | 1066~1600 | 2133~5100 | 3200~6400 |
転送速度(GB/秒) | 0.8~1.3 | 2.1~3.2 | 4.2~6.4 | 8.5~14.9 | 17~25.6 | 38.4~51.2 |
電圧(V) | 3.3 | 2.5~2.6 | 1.8 | 1.35~1.5 | 1.2 | 1.1 |
メモリはすべてのマザーボードと互換性があるわけではない
一般に、マザーボードは1種類のメモリのみに対応するようにつくられているため、同じマザーボード上にSDRAM、DDR、DDR2、DDR3、DDR4、またはDDR5のメモリを混在させることはできず、そうすると機能しません。異なるメモリを同じソケットに挿すこともできません。
RAMシステムは業界全体での規格であるため、コンピューターにインストールされているメモリハードウェアの電気的パラメーターと物理形状は知っておく必要があります。メモリの電気的パラメーターは各世代によって異なるため、コンピューターに誤ったメモリをインストールしないようにメモリの物理的な形状も変えてあります。たとえば、マザーボードは特定仕様のメモリのみが使用できるようになっているため、SDRAMとDDR5の間でメモリを選ぶ、といったことはできません。一部の形状のメモリ同士では相互互換性がある場合もありますが、システムは適合するRAMのみが機能します。
ご使用のコンピューターに適したメモリを確認するには、Crucial® Advisor™ツールまたはSystem Scannerツールを使用ください。ご使用のコンピューターと互換性があるメモリモジュールが、転送速度の要件や予算と照らし合わせて選定できます。
RAMの世代に関してよくある質問
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DDRとは何ですか?
DDRはダブルデータレート(Double Data Rate)の略語です。DDRは、クロック信号の立ち上がりと立ち下りの両端でプロセッサーにデータを転送します(1サイクルあたり2回)。
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RAMの機能
RAMはコンピューターの短期記憶です。デスクトップ、ノートパソコン、またはタブレットには、デバイスが正しく動作するために必要な短期データを保存するために、必ずRAMが搭載されています。最新のRAMテクノロジーはDDR5です。
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すべてのRAMはすべてのマザーボードと互換性がありますか?
いいえ、すべてのRAMがすべてのマザーボードと互換性があるわけではありません。マザーボードは1種類のメモリのみ対応するようにつくられているため、同じマザーボード上にSDRAM、DDR、DDR2、DDR3、DDR4、またはDDR5のメモリを混在させることはできず、そうすると機能しません。混在させると動作せず、異なるメモリを同じソケットに挿すこともできません。
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